脂肪代謝促進研究11 代謝による活性酸素の発生

細胞の中でエネルギー産生を行う小器官のミトコンドリアは酸素を使ってATPを産生していることから、ミトコンドリア内でエネルギーが作り出されるときに活性酸素が発生します。その量は取り込まれた酸素のうち2〜3%にもなります。活性酸素はプラスとマイナスの電子のバランスが崩れた酸素のことで、細胞の電子を奪うことで細胞を破壊したり、細胞内の遺伝子(DNA)を傷つけたりしていきます。

ミトコンドリア内のDNAは損傷されやすく、ミトコンドリア内で活性酸素が多く発生するとミトコンドリアの機能が低下していくようになります。機能が低下したミトコンドリアが多くなると、その細胞は必要なエネルギーが産生できなくなります。特にエネルギー代謝が盛んな骨格筋や神経細胞は影響を受けやすく、ミトコンドリアが劣化することによって細胞死のアポトーシスが起こるようになって、筋肉が減っていくようにもなります。

高齢者では筋肉量が減り、身体が小さくなっていくのはミトコンドリアの劣化が一つの重要な原因と考えられています。

ミトコンドリアを増やすためには有酸素運動が必要ですが、有酸素運動によって活性酸素が多く発生します。しかし、有酸素運動によってブドウ糖や脂肪酸を効率よく代謝させていると活性酸素の発生量を減らすことができます。活性酸素は不完全燃焼によって発生する老廃物のようなものと考えることができます。

ミトコンドリア内のTCA回路でブドウ糖や脂肪酸を効率よく代謝させていくには、ビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂が必要になりますが、それと同時に重要になるのは代謝促進成分のうちのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10の量です。これらの三大代謝促進成分は20歳代前半をピークに年齢とともに体内生産量が減少していくため、加齢によって活性酸素が増えていくことになります。

中でも特に重要となるのは、脂肪代謝に欠かせない(脂肪酸をミトコンドリアに取り込ませる働きをする)L‐カルニチンです。

〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕