脂肪代謝促進研究15 L‐カルニチンは加齢で不足する

L‐カルニチンはアミノ酸類縁体で、以前は医薬品の成分として使われていました。2002年に食薬区分の変更によって食品成分としても使用することが許可されて、サプリメントにも使用されるようになりました。

それを働きかけ、L‐カルニチンを広めるのに力を注いだのはロンザ株式会社です。1987年にスイスアルプスに設立された製薬会社ロンザ(Lonza)の日本法人で、35か国に拠点を構えている一つです。L‐カルニチンのサプリメント素材の国内シェアは80%を占めています。

特定非営利活動法人(NPO法人)日本メディカルダイエット支援機構の王堂哲副理事長はロンザ株式会社の出身(元ニュートリション部長)で、L‐カルニチン研究の第一人者として知られ、複数の大学で代謝科学の講習をしています。その研究成果を、メディカルダイエットの研究と実践に役立てています。

細胞の中にはエネルギー産生の小器官のミトコンドリアがあります。直径は0.5μmほどの小さな器官ですが、1個の細胞に100〜2000個があり、その重量を合わせると全体重の10%ほどにもなります。それだけ重要な器官であり、それだけ多くのエネルギーを作り出さなければ人間は生きていけないということです。

エネルギー源の脂肪酸はミトコンドリアの膜を通過して、エネルギー産生のTCA回路に取り込まれていきますが、ミトコンドリアの膜を通過するときにはL‐カルニチンと結びつく必要があります。エネルギー代謝に欠かせないため、アミノ酸のリシンとメチオニンを前駆体として肝臓や腎臓で合成されています。そして、全身に60兆個以上もある細胞に運ばれていきます。

L‐カルニチンは食品では肉類に多く、中でも羊肉や牛肉に豊富に含まれています。これらの肉類を食べていなくても体内で合成されているので代謝ができなくなるほど不足するわけではないのですが、合成のピークは案外と早くて、20歳代前半となっています。それ以降は年齢が進むほど合成量が減り、体内の蓄積量も減り、以前と同じだけの食事で、同じだけの運動を続けていても徐々に太っていくことになるわけです。

〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕