脂肪代謝促進研究17 L‐カルニチンは効果がないと言われた時代があった

L‐カルニチンが医薬品成分だけでなく食品成分としても使用することができるようになったのは2002年のことです。サプリメントの素材にも使われ、代謝促進の効果が期待されたときに、水を差すような発表がありました。

それはL‐カルニチンをサプリメントとして使っても、脂肪のエネルギー代謝が高まらないという海外の研究報告でした。サプリメントや健康食品に否定的な医師などが、これを示して役に立たないというようなことを盛んに言い出したことがあります。

しかし、それはいつしか終息しました。海外での実験と、日本人を対象にした実験では結果が異なることがわかったからです。海外の研究は欧米人を対象として行われたものです。L‐カルニチンは肉に多く含まれ、中でも羊肉と牛肉に多く含まれます。羊肉のマトンでは100gあたり200mg、牛肉は60mg、豚肉は35mgとなっています。

体内のL‐カルニチンの量のうち、欧米人は肉食から3分の2以上も摂っていて、体内で合成されるのは3分の1ほどとなっています。肉食が多い欧米人は体内に多く蓄積されているので、サプリメントとしてL‐カルニチンを摂っても効果が出にくいのです。それに対して日本人は肉食が少ないので、L‐カルニチンを摂取すると効果が出やすくなります。

肉類には飽和脂肪酸が多く含まれ、飽和脂肪酸は血液をドロドロにして、動脈硬化のリスクを高めることが知られています。欧米人はL‐カルニチンが多いことから、脂肪の代謝がよくて、血液温度が高くなります。体内で発生したエネルギーのうち半分ほどは体温の上昇と維持に使われているからです。血液温度が高いために脂肪が固まりにくくて、飽和脂肪酸が多い割に欧米人は動脈硬化のリスクが低くなっています。

それに比べると日本人はL‐カルニチンが少ないことから血液温度が低めで、欧米人に比べて1℃ほどは低くなっています。血液温度を高めるために肉を多く食べる必要はなくて、L‐カルニチンをサプリメントとして摂ることで対応できるということです。

〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕