脂肪代謝促進研究27 肉を食べればL‐カルニチン不足にならないのか

細胞のミトコンドリアの中に脂肪酸を取り込む働きをするL‐カルニチンは肉類に多く含まれています。中でも羊肉、牛肉に多く含まれているので、肉を多く食べていれば体内のL‐カルニチンの量が増えて、エネルギー代謝も高まるように思われるかもしれません。

しかし、これらの肉を多く食べている人であっても、年齢を重ねるにつれて脂肪酸の取り込みの量が減り、代謝が低下していきます。
その理由の一つは、体内のL‐カルニチンのうち食事に由来するものは3分の2ほどで、3分の1ほどは体内で合成されたものが占めているからです。脂肪代謝を促進するのは肉に含まれているL‐カルニチンだけではないのです。

とはいっても、肉に含まれているL‐カルニチンの割合が多いので、やはり肉の量に影響するように思われがちです。しかし、L‐カルニチンは必須アミノ酸のリシンとメチオニンから合成されているので、これが不足していたのでは体内の合成量は減ってしまいます。

リシンはリジンと以前は呼ばれていたもので、肉のほかに魚、大豆製品にも含まれています。メチオニンは肉のほかに魚、乳製品、大豆製品に多く含まれているので、これらの食品からもバランスよくたんぱく質を摂っていることが大切になります。

肉を多く食べると、中性脂肪も多く摂取することになります。この中性脂肪は胃で分解されると脂肪酸になり、これをL‐カルニチンがミトコンドリアに取り込んでいくので、肉を食べていればエネルギー代謝が高まるように考えられます。

しかし、年齢を重ねると体内でL‐カルニチンを合成する能力が低下していくために、体内の合成量と保持量が減っていきます。また、肉のたんぱく質を分解してアミノ酸にする能力も低下していくので、年齢を進んでいくほどL‐カルニチンは不足することになるのです。

〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕