脂肪代謝促進研究41 体熱産生のメカニズム

全身には60兆個以上の細胞があり、細胞はエネルギー源を取り入れて、エネルギー代謝を行って、生命維持のためのエネルギーを作り出しています。細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中だけで使われます。そのエネルギーが、電気のように他の細胞に流れていって使われることはありません。

神経伝達は一つの神経細胞から隣の神経細胞に伝わって、全身に情報が伝達されています。この場合もエネルギーが電気のように流れているのではなくて、神経細胞の端から神経伝達物質が出て、これを次の神経細胞が受け取って情報を伝えています。

エネルギー源は糖質、脂質、たんぱく質ですが、たんぱく質は身体を構成する重要な成分であるので、エネルギー源として使われないほうがよいわけです。糖質と脂質は細胞の中のエネルギー産生の小器官であるミトコンドリアに取り込まれて、この中にあるTCA回路でエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られています。

糖質はブドウ糖に分解されたあとミトコンドリアに入ってアセチルCoAという高エネルギー化合物に変化しますが、そのときにはビタミンB₁、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸が必要になります。脂質から脂肪酸に分解されるときにはビオチンが必要になり、脂肪酸からアセチルCoAに変化するときにはビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸が必要になります。このように水溶性のビタミンB群が充分にあることで、代謝の前段階が整えられるのです。

エネルギー源の脂肪酸がミトコンドリアの膜を通過するときには、L‐カルニチンと結びつく必要があります。L‐カルニチンなしでは脂肪酸をエネルギー化させることができないということで、肝臓で必須アミノ酸のリシンとメチオニンを材料にして合成されています。しかし、その合成のピークは20歳代前半で、その後は年齢が進むほど合成量が減り、脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みが低下していきます。

このことが加齢による代謝低下の原因であり、日本人の血液温度が低いという体質の弱点を生み出しています。体質的なものでは改善は難しいという時代もありましたが、今ではL‐カルニチンをサプリメントとして摂取することができるようになり、体熱の産生を進められるようになっているのです。

L‐カルニチンを例としてあげることが多いのは、日本メディカルダイエット支援機構の副理事長がL‐カルニチン研究の第一人者で、代謝科学の研究者でもあることから、私たちも力を注いで研究を進めていることが関係しています。

〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕