脂肪代謝促進研究57 ビーガンにL‐カルニチン

ビーガン(Vegan)は、肉や魚のほかに卵や牛乳・乳製品などの動物由来の食材を使った食品を食べない生活をしている人を指しています。宗教上や主義主張だけでなく、体調管理やアスリートが成績向上のために実践する例も増えています。完全菜食主義とも呼ばれます。
動物を殺すことがない卵や乳の摂取を認めている菜食主義もありますが、すべての動物性食品を避けることから栄養バランスの問題だけでなく、エネルギー代謝にも影響を与えることが懸念されています。

エネルギー源としては糖質、脂質、たんぱく質を植物性の食品から摂ることができます。また、身体を構成するたんぱく質の材料となるアミノ酸は、大豆・大豆製品からすべての必須アミノ酸(20種類)を摂ることが可能です。エネルギー源の摂取が多ければ、余分になったものは肝臓で脂肪合成されて、脂肪細胞の中に蓄積されていきます。

脂肪細胞に蓄積される中性脂肪は、動物性食品でも植物性食品でも同じで、この中性脂肪を活動や身体調整のエネルギー源とすることができます。そのためには、中性脂肪が分解されて脂肪酸として血液中に放出される必要があり、その脂肪酸が細胞のミトコンドリアに取り込まれなければなりません。脂肪酸がミトコンドリアの膜を通過するときにはL‐カルニチンと結びつく必要があります。

L‐カルニチンが不足しなければ、ビーガンであってもエネルギー不足になることはありません。しかし、L‐カルニチンの体内での合成量は20歳代前半をピークに減少していくので、年齢を重ねるとエネルギー産生が低下していきます。そこでL‐カルニチンをサプリメントとして摂ることがすすめられます。

L‐カルニチンは動物性食品に多く含まれる成分ですが、材料は必須アミノ酸のリシン(リジンともいう)とメチオニンで、植物性食品からも作られます。国内で8割のシェアがあるトップメーカーのL‐カルニチンは植物性です。吸収性がよいカプセルに納められたL‐カルニチンもありますが、これが動物性の材料では仕方がありません。前出のL‐カルニチンの製品には動物性の材料は使われていないので、安心して摂ることができます。

〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕