脳血管性認知症は、脳血管の動脈硬化が原因になっていることが多く、動脈の老化を進める高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)を予防して血管の健康を維持することによって動脈硬化を予防したり、進行を遅くすることができます。
アルツハイマー型認知症と診断される患者の中には血管性認知症の要素を持っている人が30%ほど存在しています。アルツハイマー型認知症は治療ができず、進行を遅れさせることしかできないとされているものの、脳血管にも原因がある場合には脳血管の動脈硬化を予防・改善することによって発症を遅らせることも可能と考えられています。
認知症が死因と結びついているとは、あまり思われていないようですが、認知症が原因となって治療を受けている状態で亡くなった人は、認知症が死因とされています。
日本人が、どんな病気で死亡しているのかの統計は人口動態調査(厚生労働省)として発表されています。
男女平均では過去には1位:悪性新生物(がん)、2位:心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、3位:脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)、4位:老衰、5位:肺炎の順になっていました。それが2020年の統計では悪性新生物、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎の順で、高齢化の急伸を背景に、老衰が増えています。
男性の結果は同じ順となっていますが、長生きの女性は異なった結果がみられます。それは認知機能に関する結果で、男性は8位にアルツハイマー病、9位に血管性等の認知症が入り、女性は同率9位に脳血管性等の認知症、10位にアルツハイマー病となっています。ともに認知機能に関わる疾患であることから合算すると6位となります。この傾向は2014年調査結果からみられ、それ以降も続いています。