健康法については、メディアで嫌というほど流されています。その多くは医師が実践や知識を基にしてコメントをしていますが、どの医師の言うことを聞けばよいのかを迷うことがあります。できれば長生きで、認知機能もしっかりとしている医師の健康法を知りたいと願うところですが、願いどおりにいかないのが現実です。
医師が長生きでないのが一つ目の理由です。医師の平均寿命については、以前には65歳と言われたことがあります。65歳といえば今や定年退職の年齢です。定年退職が60歳の会社であっても、定年延長や再雇用で65歳どころか70歳まで仕事ができる時代が近づいてきました。
全国的な統計は最近はないのですが、岐阜県保険医協会の報告を見ると、2008〜2017年の間に死亡退会した医師の平均死亡年齢は70.8歳となっていました。日本人全体の平均寿命が男性で81歳を超え、健康寿命も72.68歳となっています。
この統計は2019年(令和元年)のもので、その当時の男性の平均寿命が81.41歳であったので、8.73年の差にもなっています。
少なくとも健康寿命の72歳は超えてほしいとのことですが、それにも達していないことになります。岐阜県保険医協会の報告では、年代別では60代で死亡した医師が3割強と最も多く、以前の65歳寿命説も間違いではないような状況です。
それでも70歳まで認知機能がしっかりしてくれていればよいのですが、さすがに、そのような調査は商売に関わることもあって実施されていません。
先ほどの報告書には、医師の生活習慣病についても書かれていて、7割ほどが糖尿病、高血圧症、脂質異常症などがあるとのことです。これらの生活習慣病は認知症のリスクを高めることから、多くの医師が改善をすすめています。
このような結果を知ったら、「長生きしない人の言うことが聞けるか」「自分の生活習慣病も治せない人の言うことが聞けるか」という患者が出てきても仕方がないことです。