ビタミンとミネラルを補給するためには、まずは野菜を多めに食べることから始めます。厚生労働省では野菜の推奨摂取量として1日に350gという目標を示しています。野菜は淡色野菜(白菜、キャベツ、ネギなど)と緑黄色野菜(ほうれん草、人参、かぼちゃなど)に大きく分けられます。その割合として淡色野菜は230g、緑黄色野菜は120gと示されています。これは淡色野菜が3分の2くらい、緑黄色野菜が3分の1くらいという目安から割り出された数字で、きっちりと重量を測定して食べなければならないということではありません。
摂るべき栄養素として、五大栄養素という考えがあります。これは三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質にビタミンとミネラルを加えたものです。食物繊維は消化も吸収もされないことから役に立たないものと考えられていた時代もありましたが、今では食物繊維の重要性が明らかになり、六大栄養素の仲間入りをしています。食物繊維の推奨摂取量は1日に男性が20g以上、女性が18g以上となっています。以上とされているということは、これだけの量を摂れば充分ということではなく、少なくとも摂らなければならない量という意味です。
食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に大きく分けられます。植物の葉や根などに含まれる不溶性食物繊維は腸壁を刺激して便通を促進します。海藻やきのこ、果物などに含まれる水溶性食物繊維は便を軟らかくするとともに、余分な糖質や脂質を包み込んで排泄する働きがあります。不溶性食物繊維も水溶性食物繊維も胃では消化されず、小腸から吸収もされないのですが、大腸では腸内細菌によって分解され、食物繊維の中に含まれる栄養素を吸収することができます。
1日に20g以上というと昭和30年代の食物繊維摂取量と同様のレベルです。食物繊維が不足しているというと、野菜や根菜を食べようとする人が多いかと思いますが、野菜と根菜の量は昭和30年代とほぼ同じとなっています。不足しているのは穀類、豆類、きのこ、海藻の食物繊維で、特に不足しているのは水溶性食物繊維です。