脳の健康寿命25 認知機能を維持する食品

認知機能の研究が進む中、脳の健康によい食品が明らかになっています。理論での解明だけでなく、大規模調査によって実際に認知症の発症率が低い人が食べている食品が判明しています。それは野菜、海藻、魚介類、大豆製品、乳製品で、これまで栄養バランスがよい食品として取り上げられてきたものです。
脳神経細胞の維持には、魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が有効であることが確認されています。DHAとEPAの有効性だけでなく、血管の老化を予防する意味でも重要性が認められています。
血管の老化を進める最大の要因は加齢ですが、それと同時に大きな要因となっているのは、血糖値や中性脂肪値、LDLコレステロール値の高さです。血糖値が異常に高くなって発症する糖尿病は高血糖状態が長く続いたことで血管の老化が進む疾患です。多くなりすぎたブドウ糖が血管壁の細胞に入り、細胞の中で糖アルコールに変化すると細胞内の水分バランスが崩れて、細胞の機能が低下して、細胞の再生が遅れるようになります。
このことによって細胞が徐々にもろくなっていきます。糖尿病の合併症である網膜症、腎症、神経障害は細くてもろい細小血管が傷むことによって発症します。糖尿病では細小血管だけでなく、動脈硬化も進んでいきます。
中性脂肪とLDLコレステロールは血液中で多くなると直接的に動脈硬化を進めていきます。中性脂肪は脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついた構造をしていますが、脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、動脈硬化のリスクには違いがあります。飽和脂肪酸は血液温度が高い動物に多く、血液温度が高いために動物の体内では溶けています。
それに対して人間は血液温度が低く、中でも日本人は欧米人や大陸のアジア人に比べて血液温度が低いために飽和脂肪酸は血液中で固まりやすく、ドロドロ状態になって流れにくくなります。そのために血管内にたまりやすく、これが動脈硬化の要因となります。