認知症はアルツハイマー型認知症と脳血管型認知症に大きく分けられます。今回はアルツハイマー型認知症について紹介していきます。
アルツハイマー型認知症は、原因は不明ですが、脳内でさまざまな変化が起こり、脳の神経細胞が減り、脳が全体的に萎縮して高度の知能低下や人格崩壊が起こるものです。
成人では脳の重さは1400g前後あるとされていますが、男女差があり、男性の場合は1300~1400gで、それよりも女性は100~150g少なくなっています。年齢を重ねると徐々に脳の重さは減っていくものの、実際にはわずかな量です。脳の機能は、脳細胞の量だけでなく、神経伝達が重要で、脳細胞をしっかりと働かせていれば、伝達がスムーズになり、脳細胞の減少を補うことができます。
ところが、アルツハイマー型認知症では脳細胞の減少が大きく、発症してから10年ほど経つと800~900gにも減っていきます。
アルツハイマー型認知症の人の脳では、神経細胞と神経細胞の間に老人斑というシミのようなものが見られ、神経細胞の中に糸くずのような神経原線維変化が見られます。老人斑はアルツハイマー型認知症の原因のように思われがちですが、老人斑が原因なのか、それともアルツハイマー型認知症が起こったことによって生じていることなのか、まだ判明されてはいません。
初期症状としては、ゆっくりと進行する物忘れがあげられ、徐々に始まっているため、いつから発症したのかわからないのが特徴となっています。物忘れといっても、古い記憶はあるのに最近の出来事が覚えられないというもので、置き忘れをしたり、同じことを何度も聞くということも特徴的に起こります。