脳の健康寿命37 血流をよくして脳の機能を維持

認知症は脳血管性の疾患も原因の一つとなっていますが、それだけでなく血流の低下からアルツハイマー型認知症の発症を早めることも知られています。脳の血流がよければ、認知症のリスクが低下するということですが、血流を盛んにすることよって脳に多く運ばれて、認知機能を高めているのは酸素とブドウ糖です。ブドウ糖は平常時では唯一の脳細胞のエネルギー源です。そのブドウ糖をエネルギー化するためには酸素が必要です。
血流が低下することによって特に不足しやすいのは酸素です。酸素を全身に運んでいるのは赤血球ですが、その赤血球の流れにストップをかけているのは血液中に多くなりすぎたブドウ糖と中性脂肪です。ブドウ糖は脳の健康には欠かせないものですが、血液中で多くなりすぎると赤血球の周りに付着して、赤血球をくっつけるようになります。太い血管なら問題はないのですが、毛細血管のように8μm(マイクロメートル)以下しかない細いところ赤血球はつぶれるようにして通過していきます。
というのは、赤血球の直径は8μmほどあって、1個ずつなら通過なんとかできても、くっついた赤血球は通過することができません。ちなみに、1μmは1mmの1000分の1の大きさです。
ブドウ糖によって、すべての赤血球がくっつくわけではないものの、ブドウ糖が多くなりすぎて血糖値が高まった状態では毛細血管を通過して、脳細胞まで酸素を届ける赤血球が減ってしまいます。
もう一つの中性脂肪は血液中で多くなると、いわゆるドロドロ状態になって、血液の流れが悪くなります。日本人は欧米人や北方のアジア人などと比べると血液温度が低いために、動物の脂肪が固まりやすくなっています。そのために流れが特に悪くなりやすいので、肉の食べすぎは、どうしても血流を低下させる原因になってしまうのです。