脳の健康寿命39 適度な飲酒は脳にもよい

アルコールには血管を拡張させる作用があるので、飲酒は血圧を低下させて、血流をよくする効果があります。血流のよさを血圧から判断すると、日本酒に換算して1合の飲酒では血圧は低下します。もっと低下させようと思って追加で飲むと、2合では血圧は元の状態に戻り、3合以上では血圧は逆に上昇します。2合以下の飲酒、できれば1合の飲酒で止めておくのが血流をよくするための量ということになります。
この1合というのが適度な飲酒量とされているのですが、このときには効果的に脳細胞に酸素も、エネルギー源となるブドウ糖も運ばれていきます。ブドウ糖は平常時では脳細胞の唯一のエネルギー源で、脳細胞で多くのエネルギーが作られると、それだけ脳の機能を向上させることができます。
血流がよくなっているときには、自律神経の副交感神経の働きが盛んになっていて、ブドウ糖を細胞に取り込ませるために必要なホルモンのインスリンが膵臓から多く分泌されています。副交感神経はリラックス作用があり、それとは逆に興奮作用があるのが交感神経です。ストレスが強まると血管は萎縮して、血流が低下します。これはストレスによって交感神経の働きが盛んになっているからですが、飲酒によってストレスが解消されたようでも、飲みすぎると副交感神経から交感神経に切り替わります。
飲酒は睡眠に誘い、熟睡させる効果があると考えられているものの、2合以上の飲酒量では寝ている間に交感神経の働きが盛んになります。そのために熟睡できなくなるだけではなくて、寝ている間の血流も低下させます。1日の3分の1ほどは寝ているので、その間の血流は脳の機能保持に重要な役割をしています。
その意味でも、1合まで、もしくは2合以下の飲酒は、脳のための適度な飲酒量ということになります。