脳の健康寿命41 脳によい適度な運動

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は生活習慣病の要因となるということで、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)は、できるだけ早く改善することが求められます。肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症は、どれも血管にダメージが与えられるもので、脳の健康ということでは血管性認知症があげられていますが、アルツハイマー型認知症にも影響が出ることも指摘されています。
これはアメリカでの研究結果ですが、高血圧、糖尿病、心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、喫煙の4つの危険因子の有無とアルツハイマー型認知症の発症との関連が調べられています。それによると、危険因子が多いほどアルツハイマー型認知症の発症が増え、3つ以上の危険因子がある場合には、危険因子がない場合と比べて3倍以上の発症リスクがあることが確認されています。
メタボリックシンドロームの改善には、有酸素運動がすすめられます。また、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症ともに有酸素運動の代表的なものであるウォーキングが有効とされています。歩くことは有酸素運動になるといっても、ただ歩けばよいわけではありません。脳への血流を進め、アルツハイマー型認知症の要因とされるアミロイドβの脳細胞への蓄積も減らすための歩き方としては、一定の負荷がかかるウォーキングが推奨されます。
それは1日に8000歩を歩くうち、20分間は中強度の速歩をするものです。中強度の速歩というのは、なんとか会話ができる速度を指しています。これは続けて20分でなくてもよくて、10分×2回、5分×4回でもよいとされています。この速度だと10分間で1000歩ほどを歩くことになるので、2000歩の速歩となります。
以前から週に3回、30分の歩行が高齢者の認知機能の低下を防ぐとされてきましたが、速歩を加えた歩き方なら20分の歩行でよいとされています。