脳の活性化には脳トレとして、九九などの掛け算をする、100から7ずつ引いていくという方法があげられましたが、椅子に座ってじっとしているのではなく、身体を動かしながら頭も使う方法が認知症予防に効果があるということで、取り入れる人が増えています。このような運動に他のトレーニング(脳トレ)を組み合わせる方法はコグニサイズ(cognicise)と呼ばれています。認知を意味するコグニション(cognition)と運動を意味するエクササイズ(exercise)を組み合わせた造語で、運動による認知機能の向上を、さらに高めるものとして期待されています。
コグニサイズを開発したのは、国立長寿医療研究センターで、運動の種類によってコグニウォーキング、コグニダンス、コグニステップ、コグニラン、コグニバイク(自転車)などがあります。最も安全なものといえば室内で行うコグニステップということでしょうが、一人で黙々と脳トレをしながら運動をするだけでなく、同じ目的で集まった人と自然の変化を楽しみながら歩くコグニウォーキングも人気が高くなっています。
ただ身体を動かせばよいということではなくて、軽く息が弾む程度の中強度の運動によって脈拍が少し高まる運動が脳機能の維持・改善によいとされています。
運動と同時に実施する認知機能の課題は、簡単なものでは覚えてしまって、刺激が足りなくなります。正解をすればよいということではなくて、脳への負荷を高めることが目的であるので、新たな課題に取り組むことをしながら、徐々に難易度を高めていくようにします。これによって、認知症の発症を遅らせようというのがコグニサイズの開発目的ということですが、発症を遅らせるだけでなく、そもそも認知症にならないようにするには、それなりの工夫が必要です。
その工夫というのは、単に演習問題を解くということだけではなくて、健康の課題、社会的な課題を考え、話しながら歩くことです。歩いて話をして、それで自分の健康につながり、地域の役に立つなら、こんなによいことはないはずです。