脳の血管にダメージを与える悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポ蛋白)は、活性酸素によって酸化することによって動脈硬化が進むことを以前に紹介しました。活性酸素が多く発生しなければ動脈硬化のリスクが低下するということで、活性酸素を消去する抗酸化成分についても紹介しました。
これは大切なことであるのは確かですが、それと同じように動脈硬化のリスクを低下させるために心がけたいのはHDL(高比重リポ蛋白)を増やすための生活習慣です。LDLは肝臓で合成されたコレステロールを全身の細胞に運ぶ輸送船のようなものですが、血液中に多くなりすぎたコレステロールは血管を詰まらせる要因にもなることから、これを肝臓に戻す役割をするHDLが多く作られます。
LDLが多くなるとHDLも合わせて増えるのが通常ですが、食事で糖質や脂質を摂りすぎると肝臓からコレステロールを早く運び出すためにLDLが急に多く作られるようになります。そのため、HDLの数を大きく上回るLDLが作られるようになります。LDLは食べすぎで簡単に増えるのに対して、HDLを増やす食品は限られていて、なかなか増えてくれません。
そのHDLを増やすのは魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のEPAとDHAです。EPAには血液をサラサラにして血流をよくすると同時に、血管を詰まらせる血栓ができにくくなり、動脈硬化のリスクを低下させる機能があり、これが発見されたのは1960年代のことです。それから30年ほど遅れて、DHAには血液をサラサラにするだけでなく、脳の神経に多く含まれていることがわかり、頭をよくする成分であることから子どもの学習への影響とともに、高齢者の認知症予防にも役立つ成分として有名となりました。