「仕事が趣味」という言葉は、仕事人間と呼ばれたり、趣味がない人がよく口にすることです。趣味を持つことは脳の機能を保つために役立つと以前から言われていて、定年退職後の長い期間を趣味もなしに過ごしていると脳の機能が衰える、年齢よりも早く認知症になりかねないというので、定年が近づいてから趣味づくりを始める人も少なくありません。
趣味を持つのはよいことであっても、やりたくもないことを始めてみても、なかなか長続きしないものです。趣味といえば以前は盆栽や囲碁、将棋などで、健康ブームを背景にスポーツやウォーキングを始める人も増えました。そういった意向を受けて、“生涯スポーツ”が掲げられて、無理なく続けられるように既存のスポーツのルールを変えたり、新たなスポーツが生み出されました。
こういった生涯スポーツに取り組んで健康を保つだけでなく、一緒に楽しむ人たちとの交流、準備をしてスポーツの時間を楽しみに待つことも脳の機能を高めるのに役立つことが実際に楽しんでいる人たちを対象とした調査でもわかってきました。
教わって実践するだけでなく、長く続けていると徐々に教える立場になっていきます。教えるためには、しっかりと覚えて、自分の考えをまとめないと伝えていくことができないものです。スポーツで頭を使う以上に、それを教えることはもっと頭を使います。
年齢を重ねると生涯スポーツであっても、続けることができなくなる時期が訪れます。引退の時期を先伸ばしするために鍛えるのはよいことではあっても、無理をするのはよくないことです。そんなときに脳の健康寿命を延ばすということを考えると、生涯スポーツを楽しむ人のための支援をするという方法があります。
団体の役員になる、役員でなくても運営の責任者や審判員という活躍の場もあり、以前の仕事を活かして会計などの事務局、広報活動、子どもへの普及に取り組むという方法もあります。
生涯スポーツに限ったことではなくて、どんな趣味であっても自分だけ、少人数だけというのではなくてグループに加わり、もしくはグループを組織して、自分ができることを続けるというのが、脳の健康寿命を延ばすための秘訣といえます。

