2007年(平成19年)に超高齢社会(高齢化率21%以上)に突入した我が国であっても、これまでは前期高齢者(65〜74歳)の数が後期高齢者(75歳以上)を上回っていました。しかし、2018年(平成30年)3月に、前期高齢者と後期高齢者の数が初めて逆転して、前期高齢者が1764万人、後期高齢者が1770万人となりました。これ以降は、後期高齢者は増える一方で、これまでの高齢者対策では追いつかなくなるほど高齢化は一気に進んでいくことになります。
一生涯に使われる医療費である障害医療費は約2700万円となっています。このうち本人支払うのは10%か30%ですが、自治体も10%ほどを負担し、残りは国や健康保険組合が支払っています。誰が支払うにしても、これだけの医療費が1人につきかかっているのです。その生涯医療費のうち70歳以降に半分が使われている現状があります。そして、後期高齢者の増加は身体的な機能低下に対する治療だけでなく、認知機能の治療にも多くの医療費が使われることとなります。
厚生労働省の統計によると、認知症患者は65〜69歳では2.2%、70〜74歳では4.9%、75〜79歳では10.9%ですが、80〜84歳では24.4%、85歳以上では55.5%と年齢を重ねるほど増えています。
認知症は加齢による脳細胞の変化が大きな原因となっていることから、予防することはできません。中でもアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症は完全な予防が難しいことから、発症を遅らせ、発症したとしても進行を遅らせることによって、軽度認知障害の状態で推移させて、日常生活に大きな支障を与えずに暮らすことは可能となっています。
認知症の発症を5年間遅らせることによって認知症患者は40%ほど減少することが研究によって明らかにされています。わずか1年間遅らせただけでも認知症が急増している時代には大きな成果となります。