高齢になると運動の機会が減るだけでなく、運動をしても筋肉がつきにくくなることから筋肉量が減っていきます。筋肉量が変わらないとしても筋力が低下して、筋萎縮のパワーも低下していくようになります。
筋力が低下して、心身ともに弱っていく状態はフレイルと呼ばれています。フレイルと判断されるのは体重の減少(1年間に4〜5kgの減少)、疲れやすさ(週に3〜4日の行動するのが面倒だという状態)、歩行速度の低下、握力の低下、身体活動の低下であることから、筋肉の変化が注目されがちですが、それと同時に加齢による運動機能と認知機能の低下がある状態が示されています。
筋肉量が低下すると行動が制限されるようになり、これが認知機能にも影響を与えるようになることから、脳の健康寿命を延ばすためには筋肉を減らしすぎにならないようにすることが大切になります。
筋肉をつけるためには食事の内容も重要で、中でもたんぱく質の摂取が強く言われます。以前は高齢になると消化能力が低下することと、脂肪の摂取を抑えるように言われることから肉は減らすように指導されていたものですが、今では「高齢者は肉を食べろ」と言われるほどたんぱく質の摂取が重視されるようになりました。
いつ肉を食べるのがよいのかというと朝食のタイミングとなっています。就寝中に体重が減っていきますが、これは寝ている間の基礎代謝のためにエネルギーが必要で、たんぱく質が分解されてアミノ酸となり、これがエネルギー源として使われます。そのために筋肉や全身の細胞が縮小していくことになるので、これを補うために、朝食で肉類、魚類、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品を食べることがすすめられます。

