脳の健康寿命87 糖尿病と診断されても治療しない理由

認知症の予防には、血糖値を安定させて、糖尿病を予防することが大切です。
厚生労働省が健康長寿の実現などを目指して推進した『健康日本21』では、2010年には糖尿病患者(糖尿病が強く疑われる人)を1000万人に抑えるという数値目標が掲げられていました。2011年に発表された『健康日本21』の最終評価によると、直近の実績値(推計)は約890万人と、目標値を下回ったものの、増加する結果となりました。
また、『健康日本21』では糖尿病合併症の減少(合併症を発症した人の数)についても発表されており、糖尿病合併症で最も多い糖尿病性腎症によって新規に透析が導入された人の数では目標値として1万1700人を掲げたものの、直近の実績値では1万6414人と大きく増加する結果となりました。
この結果は、糖尿病患者が治療を受けていないことが大きく関係しています。推定されている糖尿病患者のうち、どれくらいの人が治療を受けているかを調べた国民健康・栄養調査(2012年)の結果では、受診しているのは男性の65.9%、女性の64.3%で、徐々に増えているものの、まだ充分とはいえません。
このように糖尿病になっていても通院しての治療を受けていない人が圧倒的に多いのは、糖尿病は初期の段階では自覚症状がない病気だからです。
糖尿病の治療を受けている人のうち約85%は、健康診断によって糖尿病であることが指摘されています。それだけに糖尿病は気づきにくく、わかったときには病気が進行して初期段階と同じようには治せない状態になっていることがあります。
糖尿病は血液検査によって血糖値を測定すれば診断できる病気です。そのため、まずは血液検査を受けて、自分の体の状態を知ることから、その対策が始まります。