認知症の原因となる原因(病気)は、アルツハイマー型認知症の発症者が多いものの、他にもレビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍などがあります。
発症者は、アルツハイマー型認知症が約50%、レビー小体型認知症が約20%、血管性認知症が約15%で、これらは三大認知症と呼ばれています。一般に認知症は治すことができないといわれているものの、その他の約15%の中には原因の病気の治療によって治るタイプの認知症が含まれています。
◎アルツハイマー型認知症
大脳辺縁系の海馬が萎縮して脳の記憶や空間学習脳に関わる機能が低下するアルツハイマー病によって発症します。海馬は虚血(激しい血流低下)に対して脆弱で、心理的ストレスを受け続けることによってストレスホルモンのコルチゾールが多く分泌され、海馬の神経細胞が破壊されることによって萎縮します。アミロイドβの蓄積による老人斑が特徴的に現れます。初期症状の物忘れから始まり、物盗られ妄想、徘徊、取りつくろいなどが起こります。記憶障害から徐々に広範な障害へと進行して、脳の機能が弱くなるにつれて体が動きにくくなり、寝たきりにもなります。
◎レビー小体型認知症
脳の神経細胞の中にレビー小体と呼ばれる異常なタンパク質が現れ、脳の側頭葉、後頭葉の萎縮や活動低下によって幻視、妄想、うつ状態が初期段階で起こります。手の震えや小刻み歩行、手足のこわばり、表情が失われるなどパーキンソン病のような症状のほかに、睡眠時の異常言動(怒鳴る、奇声)、自律神経症状(立ちくらみ、便秘、失禁)を伴うこともあります。調子のよいときと悪いときを繰り返しながら進行していきますが、急速に進行する例もあります。
◎血管性認知症
脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血など脳血管に障害が起こることで、脳の血液循環が低下して、周囲の神経細胞がダメージを受けることで起こります。初期症状の物忘れから手足の痺れや麻痺などの運動障害、感情のコントロールができにくくなる例もあります。
◎前頭側頭型認知症
高度な判断を行う脳の前頭葉や側頭葉が萎縮して、他人への配慮や社会ルールに合わせた行動が難しくなり、落ち着かなくなったり、同じ行動を繰り返すことがある一方で、非活動的、無関心になることもあります。他の認知症よりも若年で発症することが多く、物忘れの症状はなくて、性格の変化や行動異常が起こることから認知症の発見が遅れることもあります。