糖尿病は認知症のリスクを高めますが、それは細くてもろい細小血管の老化と関係していて、これが合併症を起こす原因となっています。合併症としては、腎症、網膜症、神経障害があげられ、これが三大合併症と呼ばれています。前回の腎症に続いて、網膜症と神経障害について説明します。また、動脈硬化の進行についても触れています。
◎網膜症
糖尿病性網膜症では亡くなることは少ないものの、1年間に新たに約3000人が視覚障害になり、障害者手帳を交付されています。この多くは失明にまでいたっています。失明のほとんどは網膜剥離によるものです。目は多くの酸素を必要としていまますが、血管がもろくなると運ばれる酸素量が少なくなります。そのため新しい血管を作り出しますが、この血管は弱く、ショックを受けたときに網膜ごと剥がれ落ちることがあります。
◎神経障害
神経障害は、合併症の中では比較的早く現れやすく、細小血管が傷んで神経細胞に血液が充分に送られなくなることから起こります。知覚神経の感覚が鈍くなっていると、足にできた傷が気づかないうちに悪化して壊疽(壊死を起こして部分的に腐っていく)となり、足の指や足の切断までいたる人も多くなっています。壊死になるのは糖尿病によって免疫力が低下していくことも関係しています。
神経障害は知覚神経だけでなく、自律神経にも起こり、体温の調整が乱れ、ホルモン分泌に悪影響が出ることにもなります。
◎動脈硬化
高血糖状態が長く続くと、大きな血管が傷む動脈硬化へと進み、心臓疾患や脳血管疾患の障害の危険性も高まります。糖尿病患者は一般の人に比べて2倍以上も動脈硬化になりやすい傾向があります。
そのため、糖尿病では、血糖値を下げると同時に、抗酸化成分を摂ることも大切とされます。抗酸化成分には、ビタミン類、植物の色素のほか、サプリメント素材のアスタキサンチン、イチョウ葉エキス、ウコン、コエンザイムQ10などがあります。