糖尿病で血圧が高まる理由としては、血液量が増えることと、インスリンの抵抗性などが考えられています。以下に、その理由を紹介します。
①循環血液量が増える
血糖値が高い状態では体内の細胞の浸透圧が高くなり、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓から吸収される水分の量が増えるようになります。その結果、血管の中を循環する血液の量が増えて、血管を圧迫して、血圧が上昇します。
②インスリン抵抗性がある
糖尿病の人はインスリン抵抗性があります。インスリン抵抗性は、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が低下している状態のことで、この状態ではブドウ糖が細胞に多く取り込まれず、血液中で多くなったブドウ糖が尿と一緒に排泄されるようになります。
インスリンが効きにくくなると、それを補うためにインスリンが膵臓から大量に分泌されるようになり、高インスリン血症となります。高インスリン血症では、交感神経の働きが盛んになり、腎臓でナトリウムが排泄されにくくなるために、血管の細胞の成長が促進されて血管の壁が厚くなっていきます。そのため、血管が拡張しにくくなり、血圧が上昇します。
③糖尿病性腎症
糖尿病性腎症では、腎臓の細くて弱い細小血管である糸球体がもろくなっていくために、充分に濾過ができなくなり、体内の有害物質が多くなっていきます。糖尿病性腎症になると、腎臓から血圧を上昇させるホルモンが多く分泌されるようになり、血圧が上昇します。
④肥満
糖尿病患者の約60%が肥満となっています。糖尿病の人は半数が高血圧になるリスクがあるとも言われています。内臓脂肪が多く蓄積されると、脂肪細胞からアンジオテンシノーゲンという血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡのもとの物質が盛んに放出されます。また、アンジオテンシンⅡはインスリンの作用を抑制したり、膵臓を障害してインスリン分泌を低下させる作用があるため、肥満によって糖尿病が発症しやすくなります。