脳トレをテーマにした雑誌や書籍は、これでもかというくらいに数多く出版されています。「脳を使うほど機能は高まっていく」というわけにはいかなくても、年々低下していく脳の機能を維持することを期待して、テスト問題や記憶問題、塗り絵などに励んでいる人もたくさんいます。
こういったものを活用して脳を刺激していれば認知機能は維持されるのかというと、そうはいかないことは認知症の人と、認知症の予備群とされる軽度認知障害の人の多さを見ればわかります。
2012年の発表では、65歳以上の高齢者の認知症患者は約462万人、軽度認知障害は約400万人と推計されています。認知症患者だけで高齢者の7人に1人の割合ですが、2025年には認知症患者は700万人に達して、5人に1人の割合になるとみられています。
軽度認知障害が同数いると考えると、2.5人に1人の割合という恐ろしい状況です。
さらに2070年には認知症患者だけでも2828万人と推計されていて、一気に増えていくことが予測されています。
超高齢社会の中にあって増えることはあっても減ることはないはずなので、単純に脳トレの問題を解いていれば、認知症や軽度認知障害が予防できるというような状況ではないことは普通に考えればわかることです。
では、脳トレに意味はないのかというと、そう決めつけることはできなくて、どんな脳トレをするかによって結果は違ってきます。認知機能を維持するには、新たなことに挑戦して、脳のさまざまな部分を使って、刺激し続けることが重要です。
日本一の高さの山は富士山だということは常識ですが、では2番目に高い山となると、即座に「南アルプスの北岳」と答えられる人は少ないはずです。
北アルプルの奥穂高岳、南アルプスの関ノ岳、北アルプスの槍ヶ岳と3位以下を覚えることはないにしても、気になることはネットでもスマホでも調べられる時代だけに、常に疑問を抱き、気になったら調べてみる、調べたら友達に話してみるといったことをするのが認知機能の維持には有効なことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕