脳トレ24:宍道湖七珍「スモウアシコシ」

島根県の宍道湖は汽水湖で、海の塩水と川の真水が混ざり合った独特の環境となっています。三大汽水湖は宍道湖、浜名湖・静岡県(浜松市)、サロマ湖・北海道(佐呂間町、湧別町)で、大きさからいえばサロマ湖が一番ですが、2位の宍道湖、3位の浜名湖のほうが水産物が有名なこともあって、そちらが先に指を折られてしまいます。浜名湖は鰻がダントツの1位ですが、宍道湖は7種類の魚介類が並び称されています。

それは鱸(スズキ)、モロゲエビ、鰻(ウナギ)、アマサギ、蜆(シジミ)、鯉(コイ)、白魚(シラウオ)で、頭の文字を取って「スモウアシコシ」と読み、相撲は足腰が大事という意味に合わせています。モロゲエビは山陰地方のヨシエビの呼び名、アマサギは山陰地方のワカサギの呼び名です。この7種類は宍道湖七珍として有名です。

7種類を使えば宍道湖七珍と呼ばれるわけではなくて、スズキの奉書焼、モロゲエビの鬼殻焼き、ウナギの蒲焼、アマサギの柳かけ、シジミ汁、コイの糸造り、シラウオの玉子とじと、すべて料理として提供されて、初めて呼ばれます。

奉書焼は上質な和紙の奉書紙で包んで魚を焼く料理です。由来として語られているのは、漁師が魚を焼いて食べているところに松江藩7代目藩主の松平治郷公が通りかかり、魚を所望したところ、灰のついたまま差し出すのは恐れ多いと、奉書に包んで蒸し焼きにして献上したところ大層喜ばれたということです。

治郷公は茶人の不昧公(ふまいこう)としても有名ですが、あまりに美味だったため、松江藩のお止め料理となり、江戸時代には庶民は口にできなかったといいます。

宍道湖の隣の中海にも中海七珍があり、こちらはアオデ(タイワンガザミ)、サッパ(ママカリ)、アカバイ(コナガニシ)、ゴズ(マハゼ)、オダエビ(ニホンイサザアミ)、クロメバル(クロソイ)、エノハ(ヒイラギ)です。こちらは頭文字を並べた呼び名は定まっていません。あえて並び替えで新しい言葉づくりに挑戦するのも、よい脳トレになるかもしれません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕