自閉症のある子どもの教育における配慮

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、どのような場での教育であっても配慮が必要であるとして、教育内容・方法を示しています。
教育内容は、学習上、生活上の困難を改善・克服するための配慮として、自閉症の特性である「適切な対人関係形成の困難さ」「言語発達の遅れや異なった意味理解」「手順や方法に独特のこだわり」などにより、言語内容の習得の困難さを補完する指導(動作などを利用して意味を理解する、繰り返し練習をして道具の使い方を正確に覚えるなど)を行うこととしています。
学習内容の変更・調整は、自閉症の特性によって、数量や言葉などの理解が部分的であったり、偏っていたりする場合の学習内容の変更・調整(理解の程度を考慮した基礎的・基本的な内容の確実な習得、社会適応に必要な技術や態度を身につけることなど)を行うこととしています。
次に教育方法ですが、情報・コミュニケーションと教材の配慮は、自閉症の特性を考慮して、視覚を活用した情報(写真や図面、模型、実物などの活用)を提供します。また、細かな制作などに苦手さが目立つ場合が多いことから、扱いやすい道具を用意したり、補助具を効果的に利用したりするようにします。
学習機会や体験の確保は、自閉症の特性によって、実際に体験しなければ行動などの意味を理解することが困難であることから、実際的な体験の機会を多くするとともに、言葉による指示だけでは行動できないことが多いことから、学習活動の順序をわかりやすくするように活動予定表などの活用を行うこととしています。
心理面・健康面の配慮は、情緒障害のある子どもの状態(情緒不安や不登校、ひきこもり、自尊感情や自己肯定感の低下など)に応じた指導(カウンセリング的対応や医師の診断を踏まえた対応など)を行います。また、自閉症の特性によって、二次的な障害として情緒障害と同様の状態がおこりやすいことから、それらの予防に努めることとしています。