文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の子どもの障害の状態について示しています。
①状態の把握
医学的には、自閉症は、現在の状態に加えて、乳幼児期からの発達経過の状態を踏まえて診断されます。
自閉症に類似するアスペルガー症候群は、乳幼児期の状態を把握しただけでは判断がつかない場合もあります。乳幼児期の言語遅滞がみられず、友達とも遊ぶ様子がみられますが、小学校3、4年生以降になってから周囲と噛み合わないマイペースが目立つようになり、その時点で乳幼児期を振り返ると遅れがなかったということから、総合的に判断されることが多くなっています。
なお、自閉という文字が呼称に使われていることから、人を避けて自分の殻に閉じこもるというイメージを持たれやすく、極端な引っ込み思案や人間嫌いなどと混同されがちです。しかし、引っ込み思案などは、他人の存在や思いを強く意識しており、対人関係の不適切な状態であり、自閉症ではないことに留意する必要があります。
②原因
自閉症の原因は、まだ明らかではないものの、これまでの研究からは、何らかの因子が胎児期から生後の早い時期までに、脳の機能の一部に影響を及ぼすと考えられています。それは自閉症の一部に知的発達の遅れ、てんかんや脳波異常を認めることがあることからも推測されます。
しかし、自閉症障害の多く、特に知的障害を伴わず日常生活にも大きな支障を来していない場合には、特定の脳機能障害というよりは、素因に基づく一つの構成という見方をする考え方もあります。なお、男子に多い傾向があり、以前は、原因として親子関係の不全を重視する考えがありましたが、現在は未定されています。