自閉症の子どもの通級による指導

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症の子どもの教育の場と提供可能な教育機能について紹介されています。通級による指導の対象について、初等中等教育局長通知(平成25年)によって、自閉症者は「自閉症又はそれに類するもので、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの」と示されています。
通級による指導の対象の教育的ニーズについては、特別支援学級の対象者とほぼ同様ですが、ほとんどの授業を通常の学級で受けられることから、他人との意思疎通に関わることや対人関係、社会生活への適応などに関することが中心となります。
就学先の決定に関する判断の際には、以下のことに留意することが必要とされています。
自閉症・情緒障害特別支援学級で支援する場合は、自閉症、それに類するもののため、意思疎通や対人関係、行動に問題が認められ、通常の学級では成果をあげることが困難であり、特別な教育内容・方法による指導を必要とする状態に応じています。
通級による指導において教育する場合は、自閉症、それに類する障害のために、通常の学級における授業におおむね参加できるものの、対人関係や行動上の問題の改善のための特別の指導や教科の補充的指導などを一部必要としている状態に応じています。
特別支援学校において教育する場合は、学校教育法施行令における知的障害者の項の程度の障害を併せ有する状態に応じています。ただし、就学前に、適切な療育などを受けていない場合には、基本的には知的発達の遅れがないにもかかわらず、知的障害があるとみなしてしまう場合があるので、的確に実態を分析して、慎重に就学先を決定することが大切です。なお、知的障害や病弱・身体虚弱を伴う場合は、それぞれの状態に応じて、知的障害特別支援学級、病弱・身体虚弱特別支援学級、特別支援学校(知的障害、病弱)などにおいて教育を受けることを考慮する必要があります。