文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。
自閉症は、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものこだわることを特徴とする発達の障害である、としています。その特徴は3歳くらいまでに現れることが多く、小学生年代まで問題が顕在していることもあります。そして、中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定されています。
高機能自閉症は、知的発達の遅れを伴わない自閉症を指します。同様に、アスペルガー症候群(アスペルガー障害)は、自閉症の上位概念である広汎性発達障害の一つに分類され、知的発達と言語発達に遅れはなく、3つの自閉症の特性のうちコミュニケーションの障害が比較的目立っていません。
アスペルガー症候群のコミュニケーションの特徴として、一方的に自分の話題中心に話し、直接的な表現が多く、相手の話を聞かなかったり、また相手が誰であっても対等に話をすることがあります。
3つの基本的な障害特性について、①に関連して現れる行動特徴としては、相手の気持ちや状況を考えず、自分の視点中心に活動しているように見えることがあります。例えば、自分の好きなことを質問し続けたり、一人遊びに没頭していたりするなどです。また、関わり方が一方的で、ルールに沿った遊びが難しく、仲間関係を作ったり、相手の気持ちを理解することが難しい状況があります。
②に関連して現れる行動としては、概して言語の理解や使用に発達の遅れが見られ、まったく言葉を発しないこともあります。また、他者の言葉を模倣していうこと(反響言語)だけのことがある一方で、普通の言葉づかいではない独特の言い方や自分の好きなことだけを一方的に質問し続けることもあります。
③については、次の機会に紹介します。