自閉症の理解のための概要把握2

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。前回に続いて、特定のこだわりについて紹介します。
特定のこだわりに関連して現れる行動特徴としては、こだわりがあって、同一種類へのこだわりや同じことへのこだわりがあります。同一種類へのこだわりは、例えば水洗トイレや水道の蛇口やスイッチ類へのこだわりで、気になっていることや気に入っているこだわりです。無理に止めさせても通常は子どもからの抵抗は少なく、パニックは生じないことが多くなっています。
同じことへのこだわりは、例えば同じ道、同じ場所、同じやり方、同じ物(椅子の種類ではなく、青い色の椅子でないと座れないなど)へのこだわりは、状況理解ができずに生じている不安を、慣れ親しんでいる同じ物で抑えている状況があり、そのために教師などが不用意に介入すると、子どもからの抵抗が強くなり、パニックに至ることも少なくありません。
こだわりの現れ方としては、第一には、ある行動を同一のパターンで繰り返すことで、日常生活のさまざまな場面で見られます。例えば、ごく単純な動作、仕草、あるいは遊びを飽きることなく繰り返すことがあります。また、日常生活や遊びなどの活動に手順を定め、その順番を変えないことがあります。その手順は儀式的で、合理的でないことも多く、その一連の活動が円滑になされないような状態になっても、順番どおりに遂行しないと気が済まないような状態が見られます。
第二は、環境の変化に適応できないことです。例えば、学校の日課が急に変わると、適切に対応することができず、著しく動揺することも見られ、入学や進級、転居などでも、その変化には想像を超えた苦痛を伴うことがあります。
第三は、特定の事物に興味と関心が集中することです。例えば、漢字、カレンダー、乗り物など、あるいは描画などが対象となります。そうした特定の事物への興味・関心が何年も続き、それに関する多量の知識や高い技術を驚くほど身につける場合があります。知的発達が遅れている場合は、感触や身体運動感覚、嗅覚などを媒介する自己刺激に興味・関心が集中することもあります。