自閉症の理解のための概要把握4

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。今回は自閉症教育の対象について紹介します。
自閉症教育の対象は、発達障害に包括される障害である自閉症と、それに類するものによって、言語発達の遅れや対人関係の形成が困難であるため、社会的適応が困難である状態の子どもとされています。
昭和40年代の前半に自閉症の存在が注目を浴びるようになり、その対応は教育界の緊急の課題となっていました。その現実的な要請が情緒障害特殊学級の増加を促しました。その後、情緒障害特殊学級は、自閉症、選択性緘黙、不登校などの子どもを対象とする学級として定着していきました。
特殊教育に関する研究調査会の「軽度心身障害児に対する学校教育の在り方(報告)」(昭和53年8月12日)において、「自閉、登校拒否、習癖の異常などのため社会的適応性の乏しいもの、いわゆる情緒障害者のための特殊教育を設けて教育するか、又は通常の学級において留意して指導すること」と提言されました。
このような経過により、多くの情緒障害特別支援学級において自閉症などへの対応が行われていた実態を踏まえ、平成21年に、その名称が「自閉症・情緒障害特別支援学級」に改められました。
なお、通級による指導の対象については、平成18年に学習障害と注意欠如・多動性障害が追加された際に、それまで情緒障害として位置づけられていた自閉症を独立して位置づけました。また、特別支援学級においても、多くの自閉症を伴う知的障害の児童生徒が在籍しています。