自閉症の障害の状態の把握2

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。前回に続いて、自閉症の障害の状態の把握について紹介します。
③知的機能の状態
知的機能の程度を評価するには、知能検査の効果的な利用が必要となりますが、自閉症の子どもについて知的機能の状態を把握する場合に必要な配慮があります。
自閉症は、一般に新しい場面への適応が困難であることが多いため、最初の検査だけで妥当性のある結果を得ることはほとんど不可能であるため、他の発達検査などを適切に組み合わせるなどして知的機能を明らかにすることが大切です。
さらに、低年齢のときは、自閉症としての言葉の理解力の問題が顕著で、発達検査などの課題の教示自体が理解できていない場合でも、発達に伴って言葉の理解力が向上し、教示を理解できるようになると課題ができるようになることがあるため、経時的に何回か検査を行っていくことが大切になります。
なお、知能検査などの結果から読み取れる特徴としては、次の点があげられます。
・発達の水準は、移動運動などの運動的側面が比較的高く、社会性、情意、言語が比較的低い傾向が見られます。
・言語を用いない動作性の課題(積み木模様など)では、高い水準の結果を示すことがあります。
・個人内差を把握することのできる知能検査では、例えば、ある分野の課題では低年齢段階を通過できず、別分野の課題では高年齢段階の問題を通過することなどが見られます。
・言語の発達年齢は、生活年齢よりも低いこと、類推などの能力が低いこと、一部の記憶能力が他の能力より高いことなどが比較的共通しています。
④学力
自閉症などについては、特定の事柄への深い興味によって、一部の強化の成績が特に高いことがありますが、通常の学級における授業に参加できる程度の学力を有するかどうか調査することが必要です。