言い間違い11 「傷める」と「痛める」の使い分け

同じ「いためる」という読み方であっても、「傷める」と「痛める」では意味が違っています。しかし、これが混同されていて、本来なら傷つけられている状態であるのに、「痛いだけか」と勘違いされることにもなっています。

例えば、膝についての表現では、身体の動かしすぎなどによって痛みを感じる場合は「膝を痛める」でよいのですが、事故や老化によって膝関節に障害が出ている場合は「膝を傷める」という表現があっています。

膝の違和感の改善を求めて使われるグルコサミンやコンドロイチンは、膝関節の軟骨が減って、軟骨の神経が刺激されて痛みを感じているわけですが、この場合は「傷む・傷める」のほうが、しっくりします。

文化庁の「異字同訓」の漢字の使い分けでは、以下のように示されています。

「痛む・痛める」は、肉体や精神に苦しさを感じることを指していて、例として「足が痛む、腰を痛める、今でも胸が痛む、借金の返済に頭を痛める」があげられています。

「傷む・傷める」は、傷がつく、壊れる、劣化することを指していて、例として「引っ越しで家具を傷める、建物を傷める、髪が傷む、傷んだ果物」があげられています。

このほかの「痛む・痛める」の例としては、「奥歯が痛む」「良心が痛む」「物価高騰で懐が痛む」ということがあげられます。

これを踏まえて、テレビ番組を見ていて気になることを記すと、「胸が傷む」とテロップに流れていて、これを見たときは胸の筋肉を傷めたのか、それとも胸は心臓のことなのかと一瞬ですが、驚いて見てしまいました。

「胸に痛みを感じるだけでなくて、一生消えることがない傷みを受けたのか」と感じたのは、考えすぎなのかもしれません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕