言い間違い12 幸先が悪い

幸先(さいさき)は、事業や物事の将来が明るく見通しのよいことで、よいことが起こる前兆を指す言葉です。だから、幸先に続くのは「いい」が当たり前のことで、「幸先がいい」もしくは「よい」が出てくるはずです。

ところが、「幸先が悪い」という使い方をする人が多くて、幸先に続くのは「いい」と「悪い」の両方があるような印象が抱かれがちです。

幸先が、単に前兆という意味であったら「幸先が悪い」という使い方もあるのかもしれませんが、冒頭の幸先の説明を見ると「よいことが起こる前兆」ということで、この前兆は“よいこと”の前兆だけを指しています。

それなのに、なぜ「幸先が悪い」が使われるのかというと、幸先を縁起の意味でとらえている人がいるからです。縁起は吉凶の前兆のことで、前兆であれば吉(よいこと)の前触れであることを望みたいのですが、凶(悪いこと)の前触れのこともあります。

幸先は先が使われているので、「先行きが危ぶまれる」との混同も起こります。

幸先に悪いを続けるのではなくて、せめて認められるとしたが、「幸先がよくない」といった使い方ではないでしょうか。

こういった誤用では「おかげ」と「せい」が混同していることもあげられます。

「おかげ」は好ましい結果に使うもので、「あなたのおかげで」と言われたら、その後を省略されても「良い結果があったのだな」と推測できます。

これに対して「せい」は好ましくない結果に使うもので、「あなたのせい」と言われたら、よくない結果、悪い結果があったことがわかります。
ところが、「おかげ」をよい結果にも悪い結果にも使う誤用が広がっていて、中には悪い結果にだけ使われる例もあります。

こうなると途中で省略されたらわからなくなってしまうので、最後まで言ってもらうか、悪いことを言いたくなかったという人の場合は、その後の言葉や会話で、どのような気持ちであったのかを探って会話するしかなくなります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕