「食べる」という言葉づかいは品位がないと考えられるのか、尊敬語の「召し上がる」を使いたがる人がいます。「召し上がる」は相手に敬意を示したい場合や、目上の人に対して使用される言葉です。
特別な世界だけに使われる表現であるならわからないでもないのですが、一般向けに情報を発信する雑誌の原稿などに「食べる」を使わずに、「召し上がる」が使われた例がありました。
食べること、食べている人に対して、敬っていることを伝えたいのかもしれませんが、食べるという日常的な行為に、敬語が使われると当たり前のこととして伝えにくくなってしまいます。
尊敬語の「召し上がる」に対する謙譲語は「いただく」です。謙譲語は尊敬語の裏返しとなる言葉で、へりくだる表現をすることで先方を立てる(高く置く)ために使われるものです。
その意味からすると、食べるように促すときに「どうぞいただいてください」と言われるのは違和感があります。単なる違和感ではなくて、気持ちの悪さまで感じる“強烈な違和感”です。
「いただく」は自分に対して使う言葉であって、相手に対して使うべきものではありません。
それにも関わらず、前に「どうぞ」、後ろに「ください」をつけて、「どうぞいただいてください」と言われてしまうと、食べてよいものか、食べないほうがよいのかわからなくなってしまいます。
その違和感は、「〜でよかったですか」という確認のために使われる言葉よりも気になってしまいます。この「よかったですか」は誤用で、正しくは「よろしいですか」か「よろしいでしょうか」です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕