記憶力チェックでわかったこと

病院・クリニックや調剤薬局で無料で配布されているフリーマガジンというと、なんだか健康食品の記事広告だらけという印象がありますが、公式な発行物である限りは半分は記事ページとする必要があります。ということは、多くのフリーマガジンは健康雑誌というよりも通販雑誌を病院などに置いて、患者に購入してもらうことを期待しているということになりそうです。
まともに記事を載せているフリーマガジンを発行しているのはNPO法人で、私は特別顧問になっています。また、このNPO法人の前の理事長が公益財団法人日本健康スポーツ連盟の理事長で、その連盟の理事を私が務めていたこともあって、支援をさせてもらっています。その中で、一時期、誌面を使って記憶力チェックをボランティアで行っていました。
病院に通う高齢者が気になるのは認知症でしょうが、病院などで配布するものに認知症をチェックしますというわけにはいかないので、あくまでも記憶力のチェックです。記憶力が低下してくるのは何も病気ではなくて、加齢の当たり前の反応です。記憶力が低下する原因は血管の老化にも関わりがあり、血管にダメージを与える要因がどれくらいあるかの危険因子をチェックする方法と、自覚症状をチェックする方法があります。医療機関を意識すると自覚症状という言葉も気になるので、自覚体験としていました。
この二つについて10個ずつの項目を確認することで、わかるのは軽度認知障害のリスクです。軽度認知障害は、生活改善によって通常の状態に戻ることができる人もいれば、そのままの人もいて、中には認知症まで進む人がいるという分岐点です。つまり、この分岐点に早く気づいて、早めに食事内容や生活習慣を見直すことで予防しましょうという意図で実施しました。記憶力チェックの希望者にはチェック表を送り、郵送されてきた記入済み記載のものを見て、判定と注意を送るという面倒な方法でしたが、500人以上になってみて、危険因子が多い人ほど自覚体験が出やすいという当たり前のことがわかりました。
このあとに、有料のサービスも用意していたのですが、無料で参加した人は、そこから先は進まないということもわかりました。「0に何を掛けても0」と言われますが、そのとおりのことを実感したので、それ以降は「無料で実施してリストを集めて販売したい」という相談を受けたときには、「難しいですよ」と返答するようにしています。タダではやりたくない、というわけではないのです。あとで疲ればかりが残るようなことは、どんなに意義があっても手を出さないほうがよいということをアドバイスしています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)