前回の運転免許の認知機能の説明に続いて、長谷川式認知症簡易評価スケールについて紹介します。医療機関の多くは認知症や軽度認知障害認知機能の判定に長谷川式認知症簡易評価スケールを用いています。このスケールは以下の内容で実施されます。
1 歳は幾つですか? (2年までの誤差は正解)
2 今日は何年の何月何日ですか? 何曜日ですか?
3 私たちが今いるところはどこですか? (正答がないときは5秒後にヒントを与える)
4 これから言う3つの言葉を言ってみてください。 例:a)桜 b)猫 c)電車
5 100から7を順番に引いてください。 100−7は? それから7を引くと?
6 これから言う数字を逆から言ってください。 a)6-5-2 b)3-5-2-9
7 先ほど覚えてもらった言葉(問4の3つの言葉)をもう一度言ってみてください。
8 これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください。
1つずつ名前を言いながら並べて覚えさせる。次に隠す。
(時計、くし、はさみ、タバコ、ペンなど必ず相互に無関係なものを使う)
9 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
(答えた野菜の名前を記入。途中で詰まって約10秒待っても出ない場合には終わり)
それぞれの答え方によって点数がつけられていて、質問の点数を合計して、30点満点のうち何点かで判定が行われます。一般には、21点以上:非認知症、16〜20点:軽度認知障害、11〜15点:中等度認知障害、10点以下:高度認知障害となります。
この判定方法では、記憶力がよい人は優位で、野菜の名前を列挙することから女性の方が優位になっています。また、言葉を覚えるのが得意な国語脳タイプの人、計算が得意な数学脳タイプの人、画像で覚えるのが得意な芸術脳タイプの人は、それぞれ優位となっています。高齢になると心身が疲れたときには記憶が低下しやすく、質問をする医師が早口であったり、立て続けに質問をされると混乱して答えられなくなったり、また問4の3つの言葉をもう一度聞くことを言ってくれるかどうかでも回答率が変わります。
そのために軽度認知障害や、その前兆状態が見逃される懸念もあって、自覚体験と危険因子のチェックを行って、リスクが高い方には早めの対策をしてもらえるように実施されるのが記憶力チェックです。記憶力チェックは、日本メディカルダイエット支援機構と連携して活動している一般社団法人健康・火の用心が実施しています。