講習NAVI20 活性酸素と抗酸化の仕組み

吸い込んだ酸素のうち2〜3%は活性酸素になるとされています。体内で活性酸素を発生させているのは、全身の細胞の中にあるミトコンドリアのTCA回路です。ミトコンドリアはエネルギー産生の小器官ですが、非常に数が多くて、全身のミトコンドリアの重量は体重の10%ほどにもなっています。

TCA回路では、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)をアセチルCoAという有機化合物に変えます。これを使って、9段階の化学変化を起こして、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出しています。このときには酸素が必要になるのですが、酸素を使って完全燃焼状態になれば活性酸素は発生しません。ところが、不完全燃焼状態になると酸素が活性酸素に変化します。

活性酸素にはタイプがあるのですが、共通しているのは電子のバランスが崩れていることです。通常の酸素はプラス電子とマイナス電子が4つずつあるのですが、活性酸素はマイナス電子が1つ欠けた状態になっています。これでは不安定なので、欠けているマイナス電子を他のところから奪います。マイナス電子を奪ったあとには活性酸素は通常の酸素に戻ることができます。

これによって酸素は元に戻るものの、問題はマイナス電子を奪われたほうで、細胞のマイナス電子が欠けると細胞が破壊されていきます。病原菌などが体内に入ってきたときには、細胞を破壊することができるので、免疫の一つにもなっています。ところが、活性酸素が体内で多く発生しすぎると、自分の細胞を破壊することになります。

活性酸素はマイナス電子を奪いやすいところから先に奪っていく性質があります。その奪いやすいのが、つまり人間の細胞よりも先にマイナス電子を奪うのが抗酸化成分です。

植物に含まれる色素は、紫外線によって内部で発生する活性酸素を消去して、細胞を守る役割があります。紫外線が強い地域で育った植物ほど色素が多くなります。その植物のための抗酸化成分を、人間がいただいて活性酸素を消去させているということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕