細胞のエネルギー代謝で不完全燃焼状態になると活性酸素が発生すると前回紹介しました。完全燃焼をすれば活性酸素が発生しないということで、そのために何をすればよいのかという研究が重ねられました。その中で解明されていったのが、脂肪代謝で、それを促進させることができる代謝促進の化合物であるL‐カルニチンの有効性でした。
L‐カルニチンは、必須アミノ酸のリシンとメチオニンから体内で生合成される化合物で、エネルギー産生の小器官であるミトコンドリアに脂肪酸を通過させるときに、脂肪酸と結びついて運ぶ役割をしています。重要な化合物ではあるものの、生合成のピークは20歳代前半で、それを過ぎると合成量も体内の蓄積量も減少していきます。年齢を重ねると代謝が低下していく大きな原因がL‐カルニチンの減少なのです。
ミトコンドリアに取り込まれなかった脂肪酸は、余分なものとして肝臓で中性脂肪に合成されて、脂肪細胞の中に蓄積されていきます。そのために、以前と同じ食事量、同じ運動量であっても体脂肪が増えていくようなことになるわけです。
L‐カルニチンは以前には医薬品成分でしたが、2002年に食薬区分の変更で食品成分としての使用も厚生労働省によって許可されました。それを働きかけたのは国際的な製薬企業のロンザ社の日本法人で、現在ではL‐カルニチンの国内シェアの8割を占めています。国内での普及に努めたのは同社のニュートリション部長であった王堂哲薬学博士で、王堂先生は日本メディカルダイエット支援機構の副理事長も務めています。
L‐カルニチンを摂取することで脂肪酸のエネルギー代謝が高まると同時に、活性酸素の発生を減らすことが20年以上の研究で明らかにされています。
L‐カルニチンは一般にはダイエット成分として認識されていますが、正しくはエネルギー代謝促進成分です。代謝促進によって活性酸素の発生を減らすだけではなくて、細胞で発生したエネルギーは細胞内で活性酸素を消去するときのエネルギーとしても使われます。つまり、L‐カルニチンは重要な抗酸化成分でもあったということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕