講習NAVI7 “健康に役立つ話”での誘引ができない時代の講習

商品の販売、購入に関わる説明会だということを話したら、積極的に参加しようとする人は少ないはずです。それを隠すために、「健康に役立つ話」「得する話」と言って勧誘するというのは当たり前に行われていて、それが法律違反にはならない時代もありました。“時代があった”という表現をしているのは、今は法律違反であり、やってはいけないことだからです。

その根拠となっているのは特定商取引法(特定商取引に関する法律)です。その所管は今では消費者庁ですが、以前は経済産業省でした。特定商取引法に基づくガイドラインには連鎖販売取引があり、不当な行為として、事実を告げないことや事実と異なることを告げてはいけない、勧誘目的を告げない誘引方法で勧誘することを禁じています。

特定商取引法に従った規制では、本来の目的を知らせないで誘うことは禁止されています。だから、健康に役立つ話というような謳い文句でセミナーなどに誘うこと自体が違法行為とされています。そんな規制を受けて、誘引する側も知恵を使って、無理に誘うのではなくて、本人が健康を気づかって、商品やサービスを使いたくなるようなシーンに導いていく手法が使われるようになりました。

見た目は普通の健康セミナーで、特定の商品やサービスが出てくるわけでもなくて、健康のためには必要な栄養素や成分があるという知識が得られるだけ、話を聞くうちに不安を感じてきた人の解決策があることがわかる、といったセミナーが開かれるようになりました。

開催する側には、それなりの意図はあるものの、セミナー会場では、そんな話はまったく出ません。業界で言うところの“アフター”(アフターフォロー、アフターミーティング)で、セミナーとは別の機会に商品の話をする、場合によってはビジネスの話をするというところに導いていくということが行われています。

そんな“見た目は普通の健康セミナー”に使われることがあっても、伝えるべきことが伝えられるなら、それも許容範囲ではないかと考える時代になってきています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕