年齢を重ねていくと反射能力が低下することが指摘されています。そのために、反応が鈍くなり、転倒のリスクも高まっていきます。身体年齢測定で、閉眼片足立ちの時間を測定するのは、バランス能力とともに反射能力を知ることも目的としています。
反射能力が低下するのは、神経伝達速度が低下することも関係しています。神経伝達速度は30歳に比べて60歳では90%、70歳を過ぎると大きく低下して、85歳では80%になります。
神経伝達速度は大きくは低下していないのに、高齢になると身体の動きが大きく低下します。これは神経伝達のせいだけではなく、神経伝達を受けて反応する筋肉など身体の動きが遅くなってくるからです。神経伝達を受けて、それを行動に起こすためには一定の筋肉量が必要だということです。
筋肉量の減少は認知機能の低下にも関わりがあり、筋肉が減ることで認知機能が低下するとの研究報告もあります。これは筋肉量が減ることによって活動が低下して、脳が受ける刺激が減ってくることも関係していることから、筋肉の減少が認知機能の低下の指標になっているわけではありません。
また、認知機能の低下は加齢によって進むことから、筋肉の減少とリンクしているだけだという考え方もあるものの、活動量が減ることは認知機能に影響を与えることは事実です。特に有酸素運動は重要で、脳の神経を成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質が記憶を司る海馬で多く分泌されて、海馬の機能が維持されると考えられています。
記憶は海馬に一時的に保存されて、大脳皮質に蓄積されていくので、海馬の機能維持は認知機能を高めるためには必要で、有酸素運動が重要だということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕