高血圧対策の栄養指導といえば食塩の摂取を減らすことがよくあげられます。塩分摂取を減らす“かるしお”をテーマに健康プロジェクトを進めているのは国立循環器病医療センターで、かるしおマークも普及しています。
食塩の摂取が血圧を上昇させるのは、ナトリウムが増えると血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分が増えるからですが、ナトリウムが高血圧に関係する食塩感受性高血圧の割合は日本人の場合は30〜40%ほどとされています。
食塩感受性がない人は食塩を多く摂っても血圧に影響がなく、逆にいうと高血圧であっても食塩を減らしても血圧が下がらないということになります。血圧が高まる理由は、塩分以外に10種類あるとされているのです。
高血圧になったからといって、すぐに健康状態に影響が出てくるわけではなく、動脈に強い圧力がかかり続けることによって動脈が徐々に傷んでいくようになります。これが進むと動脈硬化になり、その先には心疾患(心筋梗塞、心不全など)、脳血管疾患(脳梗塞、脳内出血など)という生命に影響を与える疾患が待っています。
動脈硬化の要因としては、高血圧のほかに高LDLコレステロール、高中性脂肪、糖尿病もあげられています。どれも血管を老化させる原因であるので、食事療法では同じ栄養素の摂取がすすめられます。それはたんぱく質です。
たんぱく質は血管の材料で、血管の細胞の新陳代謝を進めて、老化を抑えるためには良質なたんぱく質を摂る必要があります。たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されていて、そのすべてがバランスよく含まれているものが良質なたんぱく質と呼ばれます。
これに該当するのは肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品です。高齢になると、これらの食品の摂取量が減る傾向にありますが、疾患がなくても加齢によって徐々に血管の老化は進んでいきます。血流が低下するために、全身に多くの血液を送るように血圧も高まっていきます。
血管の健康を考えたら、良質なたんぱく質を多めに摂るようにするのが重要になってくるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕