身体年齢は身体の健康度や機能から実年齢との差を確認して、現状に即した健康づくりを実施することを目指しています。身体機能は全体的には若くても、それに対して“足を引っ張る”ようなことになる身体の状態があります。それは腸の状態です。
○◯年齢という言葉は、脳年齢や肌年齢、関節年齢などがありますが、腸年齢というのは、あまり聞いたことがないかもしれません。腸の状態は加齢によって機能が低下する傾向があり、これを年齢で推測して示すことができます。
腸内細菌の割合は年齢によって傾向があり、便通や便の状態も年齢による傾向があります。
腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見(ひよりみ)菌に大きく分けられます。腸内細菌は栄養源を取り入れて、内部で化学反応を起こして代謝物を排出します。その代謝物が健康に役立つものを善玉菌、逆に害するものを悪玉菌と呼んでいます。
日和見菌というのは、善玉菌でも悪玉菌でもないものの、どちらの腸内細菌が多いのかによって働きが変わってきます。善玉菌が多いときには善玉菌を助け、悪玉菌が多いときには悪玉菌を助けるというように、日和見な結果を生み出します。
若いときには善玉菌の割合が多く、そのために悪玉菌が減って、腸内の発酵が進み、便は軟らかくなり、量が増え、色は黄色くなり、においも弱くなっています。悪玉菌が多くなると腸内の腐敗が進み、便は硬くなり、量は減り、色は黒くなり、におい(臭い)も強くなっていきます。
これは年齢によってだけ起こることではなくて、善玉菌の栄養源になるものが少なく、悪玉菌の栄養源になるものを多く摂ることで、老化と同じ状態になっていきます。善玉菌の主な栄養源は糖質、食物繊維、乳製品(乳糖)で、悪玉菌の主な栄養源は動物性のたんぱく質と脂肪です。
若者が好む食品は悪玉菌を増やすものが多く、食物繊維が不足しているので、食生活が長年齢を高齢化させていくということができます。悪玉菌が増えると一般に毒素と呼ばれる有害物が増えて、これが血液中に取り込まれます。これが肝臓に負担をかけ、肌を老化させ、免疫力を低下させることにもあるので、腸年齢は身体の年齢にも大きな影響を与えることになります。
年齢を重ねると自律神経のバランスが崩れていきます。腸の働きをよくするのは副交感神経の働きですが、年齢を重ねるにつれて副交感神経の働きが低下して、交感神経の働きが強まっていきます。そのために腸の蠕動運動が低下して、栄養の吸収にも排泄にも影響を与えることになるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕