身土不二の中国的発想

中国といっても最近の話ではなくて、身土不二の精神が残っていた少し前のことですが、中国には漢方医学的な発想から独特の身土不二の考えがありました。漢方医学的という言葉は、実は正しくはなくて、中国では中医学といいます。漢方というのは中医学を元にして、日本で生まれた独自の医学で、和漢とも呼ばれています。
中医学では体質に合わせた医学を行い、どんなに効果がある医薬品であっても、体質に合わないものは効果がない、それどころか危険にもなるという発想があります。体質では気・血・水が基本で、簡単に説明すると気の流れが強い・弱い、血の流れが良い・悪い、水(津液)の流れが良い・悪い、と分けられています。このほかに気の強弱、身体の温冷、水分の多少の3パターンに分けられることもあり、中庸を加えると各分類が3つで、その組み合わせで27に分類されます。
身体を温めるのはよいことではあっても、温まりすぎる人に温まるものを与えることは益にはならず、害になるという考え方をしています。他の要素でも同じことで、だから体質に合わないものは危険にもなるという考え方をしているわけです。
では、体質に合っている食品を食べればよいのかということですが、冬に採れたものは身体を温め、夏に採れたものは身体を冷やすということは現代科学でも証明されています。また、土の中にあるものは身体を温め、地上にあるものは身体を冷やすということも同様です。しかし、日本や中国だけでなく、国内全土の流通に加えて、世界中の食べ物が手に入る時代になると、食べにくいもの、おいしくないものは避けるようになり、地元の食材であっても品種改良によって食べやすいものに変化しています。そのために栄養素が低下したものも増えています。それなのに以前と同じものを食べていれば、同じように健康でいられるのかという疑問も、当然のように起こってきます。
その解決策への考えについては、次回に続きます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)