迷言17「渡る世間に鬼は外」その2

発達障害に関わる講習をしているときに、理解しやすくするために、諺(ことわざ)をもじった言葉を使うことがあるのですが、そのときに言い方、伝え方、もっという受講者のリテラシーに合わせた言葉の選択をしないと講習がギクシャクしたものになりことがあります。

諺もじりは会場を明るくするために始めたことなのに、逆効果になることもあるのです。

中でも注意をして使わなければならないのが、今回のテーマの「渡る世間に鬼は外」です。これは「笑う門には福は内」と対に使って、発達障害がある人にとって鬼の存在になっている理解不足の人、社会的障壁となる制度などを示すようにしています。

少なくとも発達障害児が「鬼は外」とされないようにするには、何をすべきかということを考えてもらうときに使うようにしています。

発達障害児は、発達障害がある子ども(18歳以下)を指して使われる用語ですが、法律(発達障害者支援法)で発達障害がある子どもを指してはいません。発達障害があり、社会的障壁によって生活や学習などに困難さがある子どもが発達障害児となるのであって、社会的障壁さえなければ発達障害児ではないという考えです。

そして、社会的障壁とは何かを認識して、それを取り除くための行動が国にも地方公共団体(自治体)にも住人にも求められているのです。

それが“鬼”の正体であって、節分の豆まきのように豆を外に向かって投げれば、それで済むようなことではありません。掛け声と簡単な行動では対処できないことで、自治体や地域住民に働きかけ、みんなで行動する機運がなければ進まないことです。

発達障害の社会的障壁を取り除くには、相当の覚悟をもった行動が必要ではあるものの、道のりは長いので必死の形相(鬼の形相?)では続けられないことです。

気持ちを楽にして無理をしない範囲で行動をすることが必要だということを示したいので、鬼が外に出て行ったら、続いて福が入ってくることを願って、「笑う門には福は内」という言葉も同時に使うようにしているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕