運動でエネルギー量が増えると活性酸素が発生する

吸い込んだ酸素のうち2〜3%が活性酸素になります。ということは、吸い込む酸素の量が多くなるほど活性酸素の発生量が多くなることになります。活性酸素の発生量が特に多くなるのは運動をして大量の酸素を取り込み、大量のエネルギーを消費しているときで、身体を動かすほど吸い込む酸素が多くなり、エネルギーを多く発生させるほど活性酸素の発生量は増えていくことになります。歩くだけでも平常時(安静時)に比べると1.5倍以上の活性酸素が発生し、軽いジョギング程度の運動をしたときには平常時の5倍以上の活性酸素が発生するといいます。
ある教育系大学の卒業生の健康度を長期間にわたって追跡した調査で、文科系学部の卒業生と運動系学部の卒業生の寿命を比べたところ、運動系の卒業生のほうが平均で約6年も寿命が短くなっていた、という報告があります。運動をする人は一般には健康度が高いと考えられています。運動系の卒業生は体育の教師が多く、スポーツ選手ほど身体に負担はかからず、むしろ適度に身体を動かすことで健康的な生活をしていると考えられています。
実際には印象とは異なった結果になったわけですが、その大きな理由としてあげられているのが活性酸素による身体への影響です。運動の機会が多く、活性酸素の発生量が多い人は、活性酸素を消去するケアをしないと身体にダメージが蓄積されて、寿命にも関わる結果となるというわけです。
運動量が増えるにつれて体内で酸素から活性酸素に変化する量は増えるものの、活性酸素を消去する働きがあるSODなどの抗酸化酵素が作用するためには酸素が必要となります。運動をしても最大酸素摂取量の75%ほどに達するまでは酸素を利用して抗酸化酵素の働きが高まるので、活性酸素は、それほど多くはなりません。しかし、75%のラインを超えると、活性酸素の発生量は急激に高まっていくことになり、この75%のラインを超えたときが過剰な運動となります。
ちなみに、最大酸素摂取量は運動によって測定された酸素消費量の最大値のことです。最大酸素摂取量は有酸素運動の能力を測定するためにも行われ、全身持久性の体力指針として用いられます。これ以上は運動が続けられないという状態での1分間の酸素を取り込む能力で、これに対して、それぞれの運動、各人の能力がどれくらいかが%で示されています。