運動ガイド25 働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント5

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」の「事例集」の続きを紹介します。

〔事例集〕
事例6 職場での高強度インターバルトレーニングによる効果(13、14)
日本人の労働者32人を対象に2群に分け、一つの群には高強度インターバルトレーニングを8週間実施した後に食事制限を3週間実施し、もう一つの群には先に食事制限を3週間実施した後に高強度インターバルトレーニングを8週間実施したところ、11週間で両群ともに、身体組成、メタボリックシンドローム危険因子、全身持久力が改善しました。

事例7 高齢労働者に対する多要素介入の潜在的有効性(1、11、13、14)
シルバー人材センターで働く高齢労働者69人を対象に検証した研究報告では、運動・栄養・社会プログラムから構成される多要素介入は、筋力や敏捷性、バランス能力など高齢労働者の就業転倒危険因子を低減する上で効果的な戦略となる可能性が示されました。

事例8 オフィス労働者の身体活動を促進する包括的・多要素プログラムの実施可能性(7、
11、13、14、22)
20歳以上のオフィス労働者76人に対して、8週間の包括的・多要素の身体活動促進プログラムを実施し、そのうち50人の解析対象者について、身体活動量を分析した研究報告において、介入前後で1日当たりの中高強度身体活動(MVPA)は7.3分、歩数は873歩、有意に増加しました。
40人については勤務日と休日、34人については出社勤務日とリモート勤務日に分けて追加分析を実施したところ、勤務日において、1日あたりのMVPAが10分、歩数が1172歩、休日では歩数が1310歩、リモート勤務日ではMVPAが7.1分、歩数が826歩、有意に増加したことが確認されました。

事例9 オフィス環境改善による座りすぎ解消効果(22、26、27)
オフィス環境改善の前後で、座りすぎの解消効果を評価するとともに、定点カメラによる動画撮影と最新のディープランニングを活用した画像解析技術を用いることで、オフィス環境改善に伴う活用スペースの変化を検証した研究報告では、リノベーション実施群(13人)では、対照群(29人)と比較して、座位行動が1日40分減少しました。
AIによる画像解析の結果、リノベーション後に回遊型通路の活用が多くなってきたことに加え、増設された共用席の中では、入口近くや窓際の活用度が高いという特徴が見出されました。
さらに、同様の環境改善を伴うオフィス移転によって、腹囲、HDLコレステロール、HbA1cの維持・改善が認められました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕