運動ガイド32 身体活動・運動を安全に行うためのポイント3

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」の「新たに運動を開始するときの確認事項」の後半を紹介します。

〔新たに運動を開始するときの確認事項〕
③内服薬
糖尿病治療薬:機序の異なる新薬が多く開発されていることを踏まえ、服薬の状況を把握しておく必要があります。通常、運動を開始すると、正常血糖者では血中インスリン濃度が低下して肝臓からの糖の放出が増加し、骨格筋での糖の取り込み増加に対応します。インスリンやインスリン分泌を促す薬で治療を受けている人は、肝臓からの糖放出が抑制されたままで、低血糖を起こす可能性があります。

高血圧治療薬:一部のカルシウム拮抗薬、α遮断薬、β遮断薬などは心拍数に影響を与えるため、心拍数が運動強度の指標になりかねません。主観的運動強度を参考にしてください。

利尿剤:脱水になりやすいので、熱中症や起立性低血圧に注意し、水分補給も心がけましょう。

抗凝固薬、抗血小板薬など:いわゆる血液をサラサラにする薬やサプリメントにより、出血傾向を生じることがあるので、特に接触の危険性のある運動や、打撲・転倒には注意が必要です。

脂質異常症治療薬(スタチン系):筋力低下や筋肉痛をきたすことがあり、注意が必要です。高齢者では、睡眠薬や抗精神薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、血糖降下薬などの使用が転倒の原因になることもあり、注意が必要です。

サプリメントなど処方薬以外についても留意が必要なものを服用していることがあります。服薬アドヒアランスを踏まえ、副作用も含め、十分な確認が必要です。薬剤の変更・追加などの情報共有を、怠らないようにしてもらいましょう。

④運動で悪化する腰痛・膝痛・関節の変化などの整形外科的な問題
運動で悪化する整形外科的問題がある場合は、次のような工夫が必要です。
・あらかじめ医師に相談してから始める。
・低強度、短い時間から始める。
・該当箇所に負荷がかからないような運動を選択する。
・筋力トレーニングやバランス運動を加える。

かかりつけの医師がいる場合は、状況を確認しておくことも重要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕