運動ガイド44 身体活動支援環境について1

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「身体活動支援環境について」の「推奨の背景とポイント」を紹介します。

〔推奨の背景とポイント〕
適度な身体活動は健やかな人生のために不可欠ですが、これまでの様々な取組にもかかわらず、国民の身体活動は減少傾向にあります。この背景には、身体活動を減少させる地域社会の変化があります。

例えば、社会の自動車依存度が高まったこと、インターネットなどの普及により移動が減少したことなどがあげられます。問題の解決には身体活動を高める個人の努力だけでなく、地域社会・職場・学校などの環境を変える必要もあります。

本ガイドでは、環境整備を以下のように整理しました。4つすべての視点での取組が求められます。これらの取組を効果的に進めるためには、教育、都市計画、公共交通といった複数の領域の協働が必要です。

物理的環境の整備(場所の整備)
生活活動
「まちづくり・地域環境・職場環境の整備」
〈巨視的環境〉
*都市計画:身体活動を促進する地域環境の構築
*交通計画:身体活動を促進する公共交通政策
〈微視的環境〉
*身体活動を促進する都市・建築空間デザイン・身体活動を促進するナッジ、安全・快適な*歩道、自転車道、階段、広場、建物など
*職場環境の整備:オフィスレイアウト、立ち机、立ち会議の設備、階段のデザイン、共用スペースのデザイン、自転車置き場、シャワールームなど

運動
「運動する場所の整備」
*運動施設の整備、民間運動施設の誘致
*遊歩道、自転車道の整備
*公園、緑地などの整備
*こどもの遊び場、こどもが集まる場所
*保育園・幼稚園の建築・空間デザイン
*自然環境(山、河原、海岸など)の整備

社会環境の整備(機会の創出、提供)
生活活動
「生活活動の機会の創出・増加」
*活動的な移動(active travel)の推進:徒歩、自転車、公共交通による通勤・通学・買い物などの促進(モビリティ・マネジメント)
*地域活動の活性化、ソーシャルキャピタルの醸成
*高齢者の生活活動の機会の増加:就業、社会参加、通いの場、外出機会、家事などの家庭内での役割の増加、など
*職場:組織のポリシー、勤務時間、職場主導の健康教室、インセンティブ、立ち会議の導入、階段利用の促進、座りすぎを避けることの推奨など
「情報提供・コミュニケーション」
*身体活動・運動ガイド2023の普及・啓発、身体活動推進キャンペーン

運動
「こども」
*体育、部活動の充実、外遊び機会の増加
「運動・スポーツの進行」
*総合型地域スポーツクラブ、スポーツイベント、スポーツ産業の振興など
「運動プログラム」
*自治体、民間などが提供する運動プログラムの増加
*ラジオ体操、ご当地体操などの活用
「仲間・指導者」
*一緒に運動してくれる仲間、運動自主グループ
*運動指導者の充実
「医療・ヘルスケア」
*医療・ヘルスケアにおける身体活動・運動指導の充実
*運動指導が行える医師などの保健医療専門職の充実
「アクセスの改善」
*運動場所、運動する機会の認知・アクセス(空間的、時間的、経済的)を高める
「情報提供・コミュニケーション」
*身体活動・運動ガイド2023の普及・啓発、運動推進キャンペーン
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕