厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「身体活動支援環境について」の「生活活動に関する社会的環境の整備」を紹介します。
〔生活活動に関する社会的環境の整備(生活活動の機会)〕
生活活動は、移動、仕事、家事、趣味活動など、運動以外の様々な目的で実施されます。生活活動の機会を増加させることが健康増進につながります。
活動的な移動(active travel)は多くの研究で、その健康増進効果が確認されています。
*通勤:自動車ではなく、徒歩、自転車、公共交通を用いて通勤を増やす方法を考えましょう。
*通学:通学はこどもにとって大切な身体活動の機会にもなります。安全を確保した上で、活動的な通学手段が選べる環境を整備しましょう。学校の統廃合や、安全上の問題から、スクールバスを導入することで、通学での歩行量が減少することもあります。例えば、安全を確保した上で、スクールバスの駐車場を学校から少し離れた場所に設定するといった取組も考えられます。
*買い物:車を用いずに、徒歩、自転車、公共交通を用いて、買い物する人を増やす環境整備、対策を考えましょう。
職場では、健康づくりに関する職場のポリシー、長時間労働の防止、健康教室の実施、インセンティブの導入、立ち会議の導入などの対策が考えられます。
地域活動の活性化、ソーシャルキャピタルの醸成は、身体活動によい影響を与えることが期待されます。社会参加は身体活動を伴う場合が少なくありません。特に高齢者では、その機会を増やす対策が単体活動の推進につながります。
*就業、地域活動、趣味の活動、通いの場などの外出の機会を増やすことは特に高齢者において重要と考えられます。
*これらの対策は身体活動のみならず、認知機能の維持・向上、QOLの向上に資することが期待できます。生活活動促進の啓発を行いましょう。
身体活動促進キャンペーンなどで、身体活動に関する知識を啓発して、行動変容を呼びかけましょう。単なる情報提供にとどまらず、他の環境整備、イベント、身体活動プログラムなどを組み合わせること(多要素化)が有効とされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕